パート・アルバイトは解雇などの人員整理がしやすいと誤解されることが多いですが、それは全くの誤りです。
実はパートやアルバイトも解雇予告や解雇予告手当、そのほか解雇に必要な手順などは、正社員と同じなのです。ただし、2ヶ月以内の短期雇用契約者と、試用期間中で働き始めて2週間以内の人は、解雇予告手当をもらうことができません。
パート・アルバイトなどと通常呼ばれる短時間労働者については、契約期間、勤務時間や日数、勤務条件、職責などが正社員よりも緩やかに定められていることが多いようですが、会社(使用者)との法律上の関係は正社員と全く変わりません。労働関係の法令は、パート・アルバイトにも基本的に適用されるのです。
6ヶ月や1年などの契約期間が定められている場合は、「やむを得ない事由」がある場合でないと契約期間中に解雇することはできません(労契法17条1項、民法628条)。
「やむを得ない事由」があると認められる場合とは、解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも狭いと解されるもので、通常の解雇事由よりもさらに重いものとされておりますので、よほどのことがない限り契約期間中に解雇することはできません。
トラブルがおきないようにするためにも、就業規則や労働契約書に解雇事由を明示することが重要です。しかし、解雇事由を明示していても「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は解雇無効とされています。
もし解雇しようとするときは、解雇理由・手続が適切かどうかを十分に検討して下さい。
パート・アルバイトの権利意識も高まっている中、従業員とのトラブルにより会社のイメージや社会的評価を低下させないためにも、労働条件等はしっかりと伝えることが大切です。無期雇用契約社員を対象とした就業規則と有期雇用契約社員を対象とした就業規則を別々に作成することも有効です。
パート・アルバイトと有期雇用契約を結ぶ際は、契約期間を事前に十分検討してから募集、採用をするようにし、退職する際の条項も設け、今後のトラブル回避を心がけましょう。