話を聞くということはあり得ます。
労働審判とは、労働者とその使用者の間に生ずるさまざまな問題を、比較的簡単な手続きで短期に解決しようという趣旨で設けられた制度です。労働審判は裁判所で行われますが、法廷ではなく通常の会議室の様なところで、裁判官1名と労働審判員2名の合計3名で、三回以内の審尋で結論を導きます。簡易な手続きで解決を図る趣旨ですから、労働者であれば誰でも申し立てる事が出来る制度になっています。しかし、審尋の回数が限られているために、審判の間に争点を掘り下げる必要がある様な問題にはあまり適しておらず、問題を大掴みにし心証を得るといった進め方になります。従って、誰でも申し立てる事ができると言っても、申立書や答弁書には争点について詳細を記載して裁判官に伝える必要が出てきます。そこで、一般的には申立書の作成や審判手続きには弁護士に依頼する方が望ましいと言えるでしょう。労働審判手続きには、証人尋問がありませんから、その代わりとなる内容についてまで申立書に記載しておく方が、自己の主張を漏れなく申し述べることにつながるからです。
場合によって職場の同僚に証言してもらったり、自分と同じ様な思いを抱いていないか、同じ様な処遇に不満を持っていないかなどについて、ヒアリングする必要が生じてきます。この点においては、職場の同僚の考えを聞いたり、自己の主張の正当性を裏付ける材料を聞き取らなければなりませんから、聞かれる方としてはあまり有難くない事かも知れません。しかし、証人として法廷での証言を求めるわけではありませんし、同僚に話しを聞く程度では、迷惑をかけるとまでは言えないと考えられます。むしろ、労働審判での主張が認められれば、職場環境や処遇などの面について、改善される可能性が高いですから、このメリットは職場の同僚も享受する事になります。従って、より個人的な問題ではない場合、職場の労働者に広く関わる事が争点の場合には、同僚にかかる迷惑よりも主張が認められるメリットの方が大きいという可能性すらあるのです。