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賃金を払いすぎた場合の労働審判はどのようになりますか?

制度上可能です。

労働審判は、労働者とそれを使用する側の労働に関する問題であれば申し立てをすることができます。多くの場合は労働者側からの申し立てで行われますが、事業主側から申し立てることも可能です。

したがって、「賃金を払いすぎた場合でも労働審判が行えるのか」という質問に対する答えは「制度上は申し立てが行える」ということになりますが、問題はそれがこの審判に向いているかどうかです。

この審判は裁判とは違い、どちらかというと調停に近い形式であり、普通の部屋で質問や話し合いを行うことになります。

この「審尋」は原則的には3回以内となっています。
ですから、状況がとても複雑な場合や、事実関係の証明に長い時間がかかる場合などには時間切れとなり、強制的に審判が下されます。
そうした場合でも、すべてを完璧に解決することをあきらめ、一部のみ、あるいは全体を大まかに解決できれば良い、と考えれば3回以内で和解することができるかもしれません。

しかし、自分がそう考えても、争う相手がそう考えない場合もあります。
今回の場合、賃金を払いすぎたのが一人であれば話が早くまとまる可能性もありますが、複数人いる場合や過去にもたびたびあった場合は、「自分が和解すれば同僚に迷惑がかかる」という考えから拒絶される可能性があります。
また、交渉相手が労働組合である場合はこの審判を申し立てることはできませんから、労働組合の代表との話し合い、という方法も使えません。

相手が一人だとしても、性格や生活状況などによっては「絶対に返さない」という態度を取られることもあるでしょう。
その結果、時間切れで審判が下されれば、どちらかの異議申し立てによって、通常の訴訟に移行する可能性があります。それでは、単に手間と時間を無駄にしただけです。
ですが、だからといって最初から訴訟を行おうとすれば、比較にならないほど多くの手間と時間と費用がかかることを覚悟しなければいけません。

ですから、3回以内の審尋で解決できると判断可能な問題では労働審判を利用すべきでしょう。
しかし、知識や経験が無ければこうした判断は難しいものです。
自分では判断できない場合には、労働関係に詳しい弁護士に相談するという手段もあります。
弁護士を雇わなくても申し立てはできますが、こうした判断や、わかりやすい申立書の作成から審尋の際の支援まで、さまざまな場面でメリットが得られるということも考えてみると良いでしょう。