使用者側への罰則適用を避けるためにも、まずは就労可能な在留資格と在留期間があるかを確認する必要があります。また、不法就労者か否かにかかわらず、日本人労働者と同じ法規制がほぼ及ぶため、労働分野の法規制を通常通り遵守する必要があります。
1 在留資格及び在留期間の確認
外国人労働者を雇用する際は必ず、適法な在留資格を有しているか、在留期間を過ぎていないかを確認してください。企業が確認を怠ったり、違法な仲介業者から雇い入れた外国人労働者が不法就労だった場合、その労働者が強制退去になるだけでなく,使用者側が不法就労助長罪(入管法第73条の2)等に問われる危険があります。
現在、日本が定めている在留資格は全部で27種類あり、それを就労の可否に着目すると次の3つに区分されます。
①就労活動に制限がない在留資格:4種類
→ 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者
②在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格:19種類
→ 外交/公用/教授/芸術/宗教/報道/高度専門職/経営・管理/法律・会計業務/医療/研究/教育/技術・人文知識・国際業務/企業内転勤/興行/技能/介護/技能実習/特定活動(外交官等の家事使用人・ワーキングホリデイ・経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等)
③原則として就労が認められない在留資格:5種類
→ 文化活動・短期滞在・留学(就学)・研修・家族滞在
※ 留学(就学)や家族滞在の場合でも、管轄内の入国管理局で資格外活動の許可があればアルバイト等ができる場合がありますが、その場合でも1日や1週間あたりの稼働できる時間に制限があります。
2 日本人と同様の法規制
特約等がない限り、雇用契約については、労務提供地の法律が適用されることになるため(法の適用に関する通則法第12条第1項から第3項,同第8条第1項)、日本国内で働く外国人労働者については不法就労者か否かを問わず、原則として日本の法規制が適用されます。そのため、労働条件の書面通知や最低賃金、労働時間の制限、時間外勤務への割増賃金、労災の支給や解雇の制限等、様々な労働関連の規制について、外国人労働者に対しても適用がされます。
特に、労働条件の書面通知(労働基準法施行規則第5条,労働基準法第15条第1項)は、労働者の理解補助を目的とするものであるため、外国人労働者が分かる言語や方法となっていることが求められます。そのため、当該労働者が日本語を理解できない場合には、外国語で労働条件を記した書面を用意する等の措置が必要な場合もあります。
また、外国人研修・技能実習制度を用いて入国した外国人についても、実態に照らして研修ではなく勤務といえる場合には、労働者であると実務上される場合があります(東京地判平成23年12月6日判タ1375号113頁)。また、入管法の改正により、国の機関等が行う公的実習以外については雇用契約を前提とする「技能実習」が適用されることになっており、研修生としてきた外国人についても労働関連の法規制が広く及ぶこととなっています。
このように外国人労働者を雇う際には、罰則等の適用を避けるため在留資格などの確認が必須になるほか、日本人の労働者と同様の取扱いが求められることになります。
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